■よみがえる「扇情性」

 裸体がいまだ論議の的であることは「おかしいし、ばかげてさえいます」と嘆くのは、ウィーン市内にあるレオポルド美術館(Leopold Museum)で広報を担当するクラウス・ポコーニ(Klaus Pokorny)氏だ。「裸体は極めて自然なはずなのに、全くそのように扱われていません」

 同美術館は、20世紀初頭のオーストリアの画家エゴン・シーレ(Egon Schiele)の主要作品を収蔵していることで名高い。シーレの絵画はしばしば、ソーシャルメディアの検閲の網にかかっている。

 同じくウィーンのアルベルティーナ美術館(Albertina Museum)では現在、イタリアの画家アメデオ・モディリアニ(Amedeo Modigliani)の企画展を開催中だが、出品作のうち数点がいくつかのソーシャルメディアで「露骨」過ぎると判断された。

 こうした事態のせいで、美術館や博物館は仕方なく別の選択肢を探しているとポコーニ氏は言う。

「私たちはオンリーファンズにアカウントを作る気はありませんでした。(中略)でも、そうすることにしたのは、よく知られた国際的なプラットフォーム、例えばティックトック(TikTok)やフェイスブック、インスタグラム(Instagram)に作品が受け入れられなかったからです」

 人間の体に関するタブーについては「今も、100年前と全然変わっていません」とケトナー観光局長も言う。

 美術史家で、フランスのアルトゥング・ベルクマン財団(Hartung-Bergman Foundation)の理事長、トーマス・シュレッサー(Thomas Schlesser)氏は、オンリーファンズでのアカウント開設は「賢明な」動きだと評価する。

「作品が制作当時に持っていたはずの扇情的で、ポルノ的でさえある特徴が(オンリーファンズでの公開で)よみがえります」と同氏はAFPに語った。