【10月25日 AFP】2700年前の新アッシリア帝国時代に建てられた大規模なワイン醸造所と、かんがい用水路の石壁に彫られた王家のレリーフがイラクで発見された。イラク北部ドホーク(Dohuk)の考古学当局とイタリアの考古学者による共同チームが24日、発表した。

 レリーフが見つかったのは、イラク北部ファイダ(Faida)にある、全長約9キロのかんがい用水路の壁面だ。

 高さ2メートル、幅5メートルの石板12枚には、神々や祈りをささげる王、聖なる動物などの彫刻が施されている。サルゴン2世(Sargon II、紀元前721年~同705年)と息子センナケリブ(Sennacherib)王の統治時代にさかのぼるものだ。

 イタリアの考古学者ダニエーレ・モランディボナコッシ(Daniele Morandi Bonacossi)氏は「イラクでは他の場所でも石のレリーフが見つかっているが、これほど巨大で記念碑的なものはない」と指摘する。

 丘陵地から農家の畑まで水を運ぶかんがい用水路は、石灰岩を切り開いて建設された。レリーフは、この用水路建設を命じた王を人々に知らしめるために作られた。

 モランディボナコッシ氏は「これは宗教的な場面を描いただけでなく、政治的な、一種のプロパガンダのようなものだ」と語った。

 またドホーク近郊のキニス(Khinis)では、センナケリブ王の時代に商業規模のワイン醸造に使用された、巨大な岩を掘ったブドウの圧搾場も発掘された。(c)AFP