極右党首で日系人のチェコ下院議長、ウクライナを中傷 戦争ビジネスでもうける「泥棒」
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【1月6日 AFP】チェコの極右政党「自由と直接民主主義(SPD)」党首で日系チェコ人のトミオ・オカムラ下院議長が新年の演説でロシアの侵攻を受けるウクライナを中傷したことをウクライナのワシル・ズバリチ駐チェコ大使が批判したのを受け、チェコのペトル・マツィンカ外相は5日、ズバリチ大使と会談した。
チェコでは、富豪のアンドレイ・バビシュ首相率いる新政権が昨年12月中旬に発足したばかり。新政権は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるチェコと欧州連合(EU)との将来的な関係やウクライナ支援に疑問を投げかけている。
昨年10月の総選挙で勝利したバビシュ首相率いる中道右派政党「ANO2011(ANO)」は、極右のSPD、右派のモータリストという二つのEU懐疑派(反EU派)政党と連立政権を樹立した。前政権は、中道右派の親ウクライナ政権だった。
昨年11月にチェコ史上初めて極右として下院議長に就任したオカムラ氏はX(旧ツイッター)に投稿した新年のメッセージで、ウクライナへの軍事・財政支援の停止を訴えた。
オカムラ氏は扇動的な演説の中で、2022年からロシアの侵攻を受けているウクライナをめぐり、チェコ政府はこれ以上「戦争ビジネス」への資金提供を行わないと述べた。
オカムラ氏は「戦争ビジネス」について、「(ウクライナ以外の)外国の企業と政府」だけでなく、「(ウォロディミル・)ゼレンスキー大統領率いる軍事政権周辺のウクライナの泥棒」にも利益をもたらしていると主張。ゼレンスキー政権が支援金を「黄金のトイレ建設」に悪用していると非難した。
「盗むのは構わないが、われわれの金を盗んではならない。そして、このような国(ウクライナ)をEU加盟国にしてはならない」とオカムラ氏は述べた。
ウクライナのズバリチ大使は、オカムラ氏の発言を「憎悪に満ちている」「全く受け入れられない」と呼び、「彼の個人的な立場がロシアのプロパガンダの影響を受けて形成されたのは明らかだ」と激しく非難した。
マツィンカ外相は声明で、「本日、ウクライナのワシル・ズバリチ駐チェコ大使氏と会談した」と発表した。召喚とはせず、会談と呼んでいる。
■ウクライナ大使に「チェコに指図する権利はない」
モータリストの党首であるマツィンカ外相は、オカムラ氏の発言は「チェコ社会の一部の国民の感情を反映したもの」であり、会談は「真剣な雰囲気」の中で行われたと説明。
この件について6日にウクライナのアンドリー・シビハ外相に電話する予定だと付け加えた。
これに先立ちウクライナ最高会議(議会)のルスラン・ステファンチュク議長は、オカムラ氏の演説を「無知、操作、そしてシニシズムの一例」と批判していた。
前政権を担ったチェコの野党は、オカムラ氏の不信任案を提出しようとしているが、可決される可能性は低い。
オカムラ氏は下院議長に選出された直後、親EUの前政権が紛争で荒廃したウクライナへの連帯を示すために掲げていたウクライナ国旗を国会議事堂から撤去するよう命じ、物議を醸した。
バビシュ首相は5日、オカムラ氏の発言について、「SPDの党首が主に支持者に向けた演説」だと一蹴。
その後、ウクライナのズバリチ大使に「われわれに指図する権利はない」とも述べた。
バビシュ氏は以前、2024年から実施されているチェコ主導のウクライナへの砲弾供給計画に懐疑的な見方を示していた。
それでも、6日に仏パリを訪れ、ウクライナを支援する西側諸国から成るいわゆる「有志国連合」の会合に出席する予定だ。(c)AFP