【9月23日 CNS】中国の家電大手の美的集団(Midea)と格力電器(Gree Electric)は、それぞれ2021年上半期の業績を発表し、エアコン分野の売り上げは自社が業界1位だったと主張した。

 美的は調査会社の奥維雲網(AVC)のデータに基づき、家庭用エアコンの国内売り上げシェアはオンライン市場で37.6%、オフライン市場で36.5%に達し、いずれも業界1位だったとしている。

 一方、エアコン業界の情報サイト「暖通空調資訊」によると、格力の業務用セントラルエアコンのシェアは16.2%に達し、業界1位に。「産業在線」の統計によると、家庭用エアコンもシェアは33.8%を占めて1位だったとしている。

 美的の上半期売上高は前年同期比24.9%増の1738億1000万元(約2兆9350億円)。このうちエアコン事業は19.3%増の764億800元(約1兆2900億円)だった。

 格力の上半期売上高は前年同期比30.2%増の920億1100万元(約1兆5540億円)。このうち主力のエアコン事業は62.5%増の671億9400万元(約1兆1350億円)と大幅に伸びた。エアコン事業の売上高は格力が100億元(約1700億円)近く格力を上回ったが、売上高の伸び率は格力が大きく上回った。

 それぞれ売上高が伸びた一方、美的のエアコン事業の粗利益率は20.8%で3.3ポイント減少。格力も2.2ポイント減の29.7%だった。売上高が増えて粗利益が減ったことは、価格競争の要因が考えられる。トップを競う両社は激しい競争を展開しており、2019年から粗利益率は目に見えて低下している。

 突破口を探す美的は8月31日、国有通信最大手の中国移動(チャイナモバイル、China Mobile)と戦略的協力関係を締結。5G技術を生かしスマートホーム、スマートビル、産業用インターネット、スマート物流、基礎通信、クラウドコンピューティングなどの事業分野で綿密な協力を行っていくとした。

 格力は同じ8月31日、電気バスメーカーの銀隆新能源(Yinlong)の30.47%の株式を約18億2800万元(約310億円)で獲得し、子会社化すると発表。自動車産業製品でシェア拡大を図る方針を示した。格力は「エアコン事業だけに依存せず、多角的にビジネスを展開する」としている。

 格力はエアコン業界のトップを走っていたが、2020年に初めて美的が売上高で首位に。今年上半期でその差をさらに広げた。また、美的の総売上高に占めるエアコン事業の割合は43.9%で、このほかに炊飯器や電気ヒーター、扇風機などの小型家電も展開している。一方の格力はエアコンの売上高が73.7%を占め、エアコン事業に大きく依存している。(c)CNS/JCM/AFPBB News