【9月11日 AFP】スペインの病院で、19年前に別の新生児と取り違えられた女性(19)が、保健当局を相手取り、300万ユーロ(約3億9000万円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。

 新生児の取り違えは2002年、北部ラリオハ(La Rioja)州にあるサン・ミジャン・デ・ログローニョ(San Millan de Logrono)病院で発生。州保健当局によると、5時間違いで生まれ、保育器に入っていた2人の女児が「一回きりの人為ミス」により取り違えられた。

 取り違えは4年前、被害女性の一人が養育費をめぐる問題でDNA鑑定を受けたことがきっかけで発覚した。

 代理人弁護士がAFPに明かしたところによると、女性は保健当局を相手取り、血のつながりのない家族に受け渡されたことへの損害賠償として、300万ユーロの支払いを求めている。州保健当局がこれまでに女性に提示した賠償金額は、21万5000ユーロ(約2800万円)にとどまっているという。

 州保健当局長は7日に行った記者会見で、当時のコンピューターシステムには現在ほど詳しい情報が登録されていなかったと釈明。現在閉鎖されているこの病院で、他にも取り違えがあったとは「認識していない」とした。

「このミスの責任が誰にあるのか、特定できていない」と認めた一方で、「これは今日では起こり得ない一回きりの人為ミスだった。二度とこのようなことが起こらないと保証できる」と言明した。

 女性の代理人弁護士は、もう一人の被害女性とその家族もDNA鑑定を受けたものの、現時点で提訴には至っていないと話している。(c)AFP