【8月27日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者の多くが、退院から1年がたっても倦怠(けんたい)感や息切れなどに苦しんでいることが、新型ウイルスの長期的な健康被害に対する理解を深めることを目的とした中国の新研究で明らかになった。

 英医学誌「ランセット(The Lancet)」に27日、COVID-19の後遺症(Long COVID)に関するこれまでで最大規模の研究結果が発表された。

 これによると、COVID-19で入院した患者の約半数に、退院の1年後も何らかの後遺症が見られた。最も頻度の高い症状は、倦怠感か筋力低下だった。また、3人に1人に、陽性と診断されてから1年後も息切れが見られた。重症化した患者の場合、こうした症状を訴える人の割合はさらに高かった。

 ランセット誌は論説で、「治療法が確立されておらず、リハビリテーションの指針さえないCOVID-19の後遺症は、日常生活や仕事への復帰に影響を及ぼす」と指摘している。「この研究によると、多くの患者の場合、COVID-19からの完全な回復には1年以上かかる」

 この研究では、COVID-19が最初に確認された中国中部・武漢(Wuhan)で、2020年1~5月にCOVID-19で入院した約1300人を追跡調査した。COVID-19では、これまでに世界で2億1400万人が感染し、400万人以上が死亡した。

 何らかの後遺症を訴える患者の割合は、半年後は68%だったが、1年後には49%に減少した。しかし、息切れについて見ると、半年後は26%だったが、1年後は30%に増加した。

 また、女性は男性と比較して、倦怠感や持続的な筋力低下を訴える事例が43%多く、不安やうつ病と診断される事例は2倍多かった。

 COVID-19と診断される前に仕事をしていた患者の88%は、1年後には仕事復帰していた。(c)AFP