【解説】イスラム世界におけるシャリア、その解釈と適用
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【8月24日 AFP】イスラム主義組織タリバン(Taliban)がアフガニスタンを制圧したことにより、同国でシャリア(イスラム法)の厳格な解釈が再び課される懸念が高まっている。
イスラム国家の大半は自国の司法制度、とりわけ家族法にシャリアの要素を取り入れている。
だが、イスラム教聖職者の中でも見解の一致しない「ハッド刑」と呼ばれる厳格な刑罰を科している国はほとんどない。
シャリアとは何か、また世界のイスラム国家でどのように解釈されているかをまとめた。
■シャリアとは
シャリアは、イスラム教の聖典コーラン(Koran)と預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の言行録「ハディース」を基に作られたイスラム教の法体系だ。
だが、その適用については、世界の保守派ムスリム(イスラム教徒)と進歩派ムスリムの間で論争となっている。
シャリアの中には、金融関連など広く受け入れられている法もある。例えば、ムスリムの顧客向けのイスラム金融商品は、欧米企業さえもが提供している。
一方、アラビア語で「境界」を意味するハッドは、シャリアにおいて不倫やレイプ、同性愛、窃盗、殺人などが対象となる刑罰だ。
だが、自白に基づく証拠、あるいは複数のムスリム成人男性の証言が求められることが多く、極刑が科されることはまれだ。
シャリアの厳格な解釈を採用しているのは、以下のような国々だ。
■サウジアラビア
サウジアラビアのすべての法律はシャリアを基礎としており、ごく最近まで、厳格なハッド刑が一般的に公の場で執行されていた。
同性愛行為には法律上、死刑が科される可能性もあるが、通常はむち打ち刑や禁錮刑となる場合が多い。
斬首刑や切断刑は通常、金曜日の正午の祈りの前に実施され、極端な例では死刑後さらに、はりつけにされることもあった。
他人を傷つけた場合は「キサース」と呼ばれる同害報復刑によって、被害者が加害者に同様の苦痛を与えることが許されている。この刑はまさに「目には目を」の報復主義だ。
殺人の被害者遺族が加害者を許すこともできるが、その場合、賠償金が支払われることが多い。