【7月23日 AFP】東京五輪のオープンウオーター競技が行われる会場の水質が問題になり、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)が排出される下水から選手たちを守るための特製フィルターを設置しているとする中、地元自治体関係者や住人は悪臭報道に少し困惑している。

 2019年に開催されたパラトライアスロンW杯(2019 Tokyo ITU Paratriathlon World Cup)で高レベルの大腸菌が検出され、一部競技の中止を余儀なくされて以降、会場のお台場海浜公園(Odaiba Marine Park)の水質問題は、絶えざる懸念材料となっている。

 今週に入って国内と海外のメディアは、マラソンスイミングとトライアスロンの会場に関して「トイレのような臭いがする」と報じている。

 しかし、地元の港区議会議員で、水質問題に取り組んでいる榎本茂(Shigeru Eonomoto)氏は、現場を確認したところ「臭いはしない」と報道内容を否定しつつ、「ただ下水が流れ込んでくるので、雨天時は水質はよくない」と語った。

 AFPの記者が最近現地を訪れた際には特に悪臭はしなかったものの、通行人はフェンスやパトロール中の警官によって会場から遠ざけられていた。

 組織委によると、水中には3層のスクリーンを設置して「雨天後の大腸菌流入」を阻止し、温度を一定に保っているという。

 トライアスロンが行われる来週初めには、雨の予報が出ている。
 
 お台場の住人は周辺に漂う不快な臭いについては否定しながらも、水質に関しては懸念を示していた。

 35歳の女性は「オリンピックのフェンスが建てられたので最近は見ていないですが、水はそんなにきれいではなかったですね」とコメント。

 また、40代の別の女性も、豪雨の後に気温が上がると嫌な臭いがするときがあると明かし、「子どもが二人いるんですけど、水辺では遊ばせないようにしています」と話した。

 一方、最近の報道でこのエリアが「臭い湾」と呼ばれていることは知らなかったという82歳の男性は、「水辺を結構散歩していましたけど、そんなに臭いは感じなかったね。もう慣れてしまったのかも」と語った。(c)AFP