【7月17日 CNS】ゲームカード1枚はいくらで売れるのか?

 入札番号「Y8745」の買い手は6月21日、阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)のオークションプラットフォームで8732万6098元(約14億8986万円)の価格を提示した。しかし、この司法競売はすぐに中止が命じられた。

 司法競売に「驚くほどの高値」がついたというニュースがネットユーザーの間でホットな話題となっている。

「オークション商品がいくらで落札できるのかは、その裏側にあるストーリーがどれだけ魅力的かに大きく関係している」。ゲーム配信者の「マンゴーアイスOL」さんから見れば、このカードはストーリーのあるオークション商品だという。

「青眼白竜」は漫画『遊戯王(Yu-Gi-Oh!)』の定番カードで、作品の中での能力やシーンが多いことで人気を集めている。

 今回出品されたカードは、2019年にコナミ(Konami)が公式に発売した20周年記念版の純金カードだ。素材は約11グラムの24 Kゴールドで、500セット限定で販売され、カードには「No.1—500」のコレクション番号と証明書がプリントされている。

 このカードの公式価格は20万円で、人民元に換算すると1万元(約17万円)を超える。しかも当時は、応募者の中から抽選で購入が決まっていた。このため、カード発売後の流通価格が何度も値上がりした。

 複数のメディアの報道によると、最近の日本のオークションサイトの成約価格から見れば、マーケットバリューは20万〜30万元(約341万円~512万円)前後と推定される。複数のプレイヤーがこの推定価格を確認した。しかし裁判所が出した評価額はわずか100元(約1706円)で、最低入札価格は80元(約1364円)、保証金は100元だ。

 今年6月初め、裁判所がアリオクで「遊戯王青眼白竜ゴールドカード」1枚を80元からの最低入札価格で司法競売にかけるというニュースが業界の注目を集めていた。大きな価格差は多くのベテランプレイヤーの議論を呼び、今回の司法競売への参加者数もすぐに1万人を超えた。

 大きな注目を集めたこのカードは元々20代若者の張(Zhang)被告が所有していたもので、司法競売にかけられたこれらの品物は彼が横領の罪に取られたため差し押さえられたと、多くのメディアが報道した。情報によると、張被告が無期懲役に処され、個人の全財産を没収された。

「マンゴーアイスOL」さんはこのカードの仲介者から、張被告が2019年に日本にいる友人に問い合わせ、10万元(約171万円)弱で番号152のこのカードを注文したと分かった。代理購入者は税関を通過する際、脱税のためカードだけを持ち帰ったが、包装や証明書は持ち帰らなかった。そのため、カードの見積もりは難しくなったという。

 6月21日午後4時、オークションは定刻に始まった。アリオクの競売の記録から見ると、各バイヤーは入札価格を迅速に出していた。オークションが始まってから3分で、入札価格は最初の80元から2000元(約3万4121円)余りになった。

 競売開始から約10分後、ある買い手が価格を一気に64万元(約1092万円)から100万元(約1706万円)につり上げた。オークションに注目していた多くの業界関係者から見ると、この時点での価格は予想をはるかに上回っていたが、入札は止まらなかったという。

 価格は上昇し続け、わずか30分余り、16時32分34秒の時点で、入札番号「Y8745」の買い手は8732万6098元の価格を出したため、オークションは中止された。

 安徽省(Anhui)滁州市(Chuzhou)中級人民裁判所は、「オークション商品と実際の入札価格の乖離(かいり)があまりに大きく、悪質なオークション行為・操作の可能性がある」という理由を挙げた。

 しかし同時に、若者たちのオークションに対する態度や関心のあるオークション商品が、現実に変化していることも見る必要がある。

 中国競売協会の欧樹英(Ou Shuying)副秘書長によると、芸術品競売市場では、若者が注目するデザイナーズトイのオークションが占める割合は大きくはないが、近年急増しているという。

 同時に、これらの新興のオークション商品は、関連機構の評価にも新たな挑戦をもたらしている。「価格評価だけでなく、市場の受容度にも適切な判断をしなければならない」。欧副秘書長は、このような事件を避けるために、関係者はどのように社会専門機構の力を借り、より良い価格評価を行うかを考慮すべきだと考えている。(c)CNS/JCM/AFPBB News