【7月7日 AFP】米国防総省は6日、米IT大手マイクロソフト(Microsoft)と締結した100億ドル(約1兆1000億円)規模の大型クラウド契約を解除したと発表した。政治的偏向が入札を左右したという疑惑をめぐり、マイクロソフトと競合するアマゾン・ドットコム(Amazon.com)間で生じた激しい対立を回避した格好だ。

 発表によると、同省の「防衛基盤統合事業(Joint Enterprise Defense InfrastructureJEDI)」と呼ばれる大型クラウド事業は現在のニーズを満たさなくなったため契約を解除し、「複数の業者」との新たな契約に向け手続きを開始する。

 JEDIに関する契約は2019年末、マイクロソフトが獲得。これに対しアマゾン側は、当時のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の同社に対する報復的な政治姿勢が、入札結果に影響を与えた可能性があると主張。訴訟にまで発展していた。

 政府関係者は、訴訟を抱えつつ事業を進めるのではなく、最新技術の活用を目的に仕切り直しを図ると語った。

 国防総省は声明で、新たな契約に当たってアマゾンとマイクロソフトに提案を求めるとし、現時点ではこの2社だけが同省の要求を満たせるクラウドサービス事業者といえると述べた。(c)AFP/Rob Lever