【7月6日 AFP】フランスで開催されるカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)は今年、使用するレッドカーペットの量を従来の半分にするなど、環境への配慮を宣言している。だが、プライベートジェットの使用や大量消費で成り立っている映画業界に変化をもたらすことはできるのだろうか。

 映画スターのレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)さんやジュリエット・ビノシュ(Juliette Binoche)さんらは近年、環境保護に熱心なイメージを打ち出して気候変動に関する映画に出演し、発言力を生かして行動を呼び掛けている。

 今月6~17日に開催されるカンヌ映画祭の主催者側は、環境をめぐる緊急事態は今年の懸案事項だと述べ、そうした動きを支持。ペットボトルの使用を禁じる方針や電気自動車の導入を発表し、気候変動に焦点を当てた映画を集めた特別プログラムを編成した。

 中でも象徴的なのは、レッドカーペットの量を50%削減し、通常のポリ塩化ビニール(PVC)ではなくリサイクル素材を使用していることだろう。

 しかし映画業界は、ひっきりなしに大陸を移動してはプレミア上映やパーティーを行っており、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんから褒められるには程遠い状況だ。

 例えばディカプリオさんが2016年、環境賞を受賞するために約8000キロの距離をプライベートジェットで往復したことは有名だ。

 カンヌ映画祭も胸を張れない立場にある。気候変動をテーマにした映画を上映した後に大規模なパーティーを催し、会場では何トンものごみが出る。参加者も、世界中から飛行機でやって来る。

 主催者側は今年、参加者1人当たり20ユーロ(約2600円)の寄付を募って「専門家による科学委員会」に分配することで、二酸化炭素(CO2)排出量の一部を相殺したいと考えている。だが同時に、映画祭という存在自体が一朝一夕には解決できない「環境問題」であることを認めている。