【6月17日 AFP】サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)アジア2次予選の日本戦で、軍に抗議を示したミャンマー代表のGKが16日、帰国便への搭乗を拒否し、難民認定を申請する意向を示した。

 合法的に選挙で選ばれたアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)氏率いる国民民主連盟(NLD)政府が軍事クーデターで倒された2月以降、ミャンマーは混乱に陥っており、大規模な抗議活動が行われて国境付近では衝突が再開した。

 同国代表控えGKのピエ・リアン・アウン(Pyae Lyan Aung)は、5月に行われた日本戦の国歌演奏中に指を3本立てて軍に抗議した。同選手は16日、ミャンマーへの帰国便への搭乗を拒否すると関西国際空港(Kansai International Airport)で出入国審査官に伝えたという。弁護士の渡邉彰悟(Shogo Watanabe)氏がAFPに報道を認めた。

「彼の希望を確認し、大阪か東京で難民認定を申請する手続きに入った。3本指を立てるジェスチャーをした後では(政治難民であるのは)明らかだ。できるだけ早く難民認定が下りることを願っている」

 NHKは、16日夜に同選手が大阪で通訳を介して話す映像を流した。その中で同選手は、「ミャンマーに帰ったら命の危険があります。日本に残ることに決めました。ミャンマーの現状を日本政府と国民は知っていると思う。協力を求めます」と話した。

 3本指を立てるジェスチャーは抗議デモでよく使用される。ミャンマーではこれまでデモの弾圧で800人以上が死亡し、負傷者は数千人に上ると人権団体は発表している。

 この日、代表チームを乗せた飛行機はミャンマーにたった。同選手はスー・チー氏が復権するまで帰国しないと話しているが、今回の決断が招く結末を心配しており、「チームメートや家族に危険が及んだ場合、自分はミャンマーに戻って逮捕される」と話した。(c)AFP/Kyoko HASEGAWA