【5月28日 AFP】サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)に向けたアジア2次予選の出場を辞退したミャンマー代表GKは、チームメートに「国民と共に立ち上がり」、同国の軍事クーデターに抗議するため3本指を立てるジェスチャーを見せるよう促した。

 クーデターに反対の態度を取るため、日本で開催される同予選に出場しないことを決めたチョー・ジン・テット(Kyaw Zin Htet)は、チームメートは世界の注目が集まる間に意思表示すべきだと述べた。

 チョー・ジン・テットは、米映画『ハンガー・ゲーム(The Hunger Games)』にちなんだもので、母国では抗議のために広く用いられているジェスチャーについて触れつつ、「チームメートの何人かが声を上げ、世界中の人が見ている前で3本指のしぐさを示してくれればうれしい」とAFPに語った。

「それはチームメートが示せるメッセージであり、彼らにはそれができる」

 第18回アジアカップ(2023 AFC Asian Cup)の予選も兼ねている今回のW杯予選でグループFに入っているミャンマーは、28日に日本でのアウェーゲームに臨み、6月には同国でキルギス、タジキスタンとも対戦する。

 試合中に政治的メッセージを発することを禁止している国際サッカー連盟(FIFA)だが、3月にW杯欧州予選でドイツ代表の選手たちがアイスランドとの試合前に、労働者の人権侵害が問題視されているカタールに向けて「HUMAN RIGHTS(人権)」と書かれたシャツを着用した際は処分を科さなかった。

 しかしチョー・ジン・テットは、「ミャンマーの選手は団結していない」ため、チームメートたちが日本で意思表示することはなさそうだと述べた。

「もしチーム全員が辞退していれば影響を与えていたかもしれない」

 自身が出場を辞退したのは「自分の発言や信条に対して筋を通したい」からだと明かしたチョー・ジン・テットは、チームの中にはプレーするよう圧力をかけられている選手もいると主張した。

「プレーしないことを選べば、若い選手たちも将来を脅かされる。だから、彼らはそれを心配しているのかもしれない」

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により、ミャンマーは2019年11月から試合を行えておらず、国内リーグは昨年10月に閉幕した。

 ミャンマーがW杯に出場する可能性は事実上消滅したが、55年ぶりとなるアジアカップ出場の夢はまだ残されている。(c)AFP