【5月30日 AFP】毛沢東(Mao Zedong)のベッドの上で写真を撮る観光客──国外では厳しい見方も少なくない中国共産党が今年、創立100年を迎える。これに際し、中国国内ではゆかりの地をめぐるツアーや大作映画、慎重に練られた報道陣向けツアーなどのPR活動が行われている。

 今年7月に創立100年を迎える中国共産党は、戦争で疲弊し分断された貧しい国家を世界の超大国へと成長させた功績をたたえるプロパガンダを展開している。

「赤い聖地」を掲げる中国西部の延安(Yan'an)は、長征(紅軍の大移動)の終着地となった場所。毛沢東の一行が拠点としていた暗い洞窟には、毎日数千人が訪れる。

 観光客は家族や親戚のグループのこともあれば、職場で企画されたツアーの参加者のこともある。

 河北(Hebei)省の技術系職員チャン・ジェンシン(Zhang Zhenxing)さんは、「革命をもたらした先人たちが、厳しい環境の中でどのように勝利を収めたのか肌で感じたい」とAFPに語った。ジェンシンさんは、勤務先が手配したツアーで参加した。

「困難な状況下で新たな中国を建国したことは、全く簡単なことではなく、心から尊敬している」とジェンシンさんは続けた。

 AFP他外国メディアは、延安や紅軍(Red Army)の「誕生の地」である井岡山(Jinggangshan)市などをめぐる政府主催のツアーに招待された。これらは、地元当局がインフラや貧困削減への取り組みを熱心にアピールしている場所だ。

 延安の当局者らは、1930年代に毛沢東と親交のあった米国のエドガー・スノー(Edgar Snow)記者について繰り返し言及し、中国を世界に発信する上で、今日の外国人記者にも彼を見習ってほしいと呼び掛けた。

 一方で、政府は飢饉(ききん)や文化大革命(Cultural Revolution)、デモの弾圧といった暗い側面を見せることにはあまり熱心ではない。

 中国のソーシャルメディアでは、1989年の天安門(Tiananmen)事件での残虐な弾圧についての議論は、今なお検閲されている。中国のサイバースペース管理局は先月、インターネットユーザーに対し、党の正史に反する「歴史的ニヒリズム」を示す「有害な」投稿を報告するよう促した。(c)AFP