【5月8日 CNS】「漢服(中国漢民族の伝統服)」、JK制服(日本の女子高校生制服風の服装)、ロリータファッションは中国では「三坑(三つの穴、ハマると際限なくお金がかかる)」カルチャーと呼ばれ、もともとは特定のサークル内のみでの流行に留まっていた。

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 しかし、ここ数年でしだいに大衆にも知られるところとなり、新たに細分化されたアパレル産業を形成している。現在、阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)傘下のECサイト淘宝(タオバオ、Taobao)では漢服やJK制服、ロリータファッションを販売するショップが1000軒近くあり、多くのファンを集めている。この1年間の「三坑」市場での購入総額は、百億元(約1687億円)規模にのぼった。

 ほかの業界と異なり、「三坑」の消費者はリピート率が高く、お気に入りの1軒または数軒のショップで頻繁に購入し、タオバオの会員グループや、画像付きレビューなどで共有し、議論することが多く、一軒のショップはサークルカルチャーの集積地に変貌している。

 業界関係者によると、「三坑」カルチャーは、新型コロナウイルスの影響を受けたが、その発展の見通しは明るいという。

 漢服の対象者は主に若年層で、平均年齢は22歳から34歳の間となる。

 漢服界のメディアの「漢服資訊」の統計によると、登録した漢服会員だけで453万人にのぼり、毎年10%以上のペースで増加を続けている。漢服関連の事業者数も2014年の196軒から、2017年は655軒、2020年には1518軒にまで急増し、毎年2桁の成長率となっている。

 JK制服は、洋風制服とセーラー服に分けられ、シャツ、ミドルウェア、セーター、ジャンパースカート、ブレザー、コートなどがあり、ネクタイや蝶ネクタイなどのアクセサリーも合わせる。愛好家たちは主に一線・二線都市に集中し、年齢層は18歳から24歳まで。長期にわたる影響拡大に伴い、ファン層は、三線から五線都市に拡大し、さらに低年齢化している。

 レースやリボン、ちょう結びのプリンセスラインドレス、宮廷人形のようなファッショントレンドこそがロリータファッションだ。主なスタイルはかわいい、クラシック、ゴシックなどに分けられる。国内では、愛好家は北京市、成都市(Chengdu)、重慶市(Chongqing)などを含む経済の発展した都市と一線、二線都市に集中している。年齢層は16歳から25歳まで。アニメ好きで、新しいものを受け入れやすい高校生や、大学生、新米社会人が中心となっている。

 円点点洋服社のオーナーでチーフデザイナーの練婷婷(Lian Tingting)さんは、愛好家から「売り手」に昇進した。大学の専攻は衣装デザインだったし、アニメが好きなのでロリータファッションの「穴にハマった」。2009年、タオバオで手作りの店を開き、簡単なアクセサリーやスカート、かぼちゃパンツなどを作ってネットで販売している。そのときは、まさか最初の月に3000元(約5万円)の人生初の元手資金を稼ぐとは思いもよらなかった。

 ロリータファッションの値段は比較的高いため、市場はコロナ禍による影響を受けている。しかし、今後5年から10年、市場は拡大していくだろう。「中国の人口ベースでは、サブカルチャー愛好家の数は非常に多い」。現在、三線都市、県級市にもロリータ服を仕入れて市場のニーズを満たすショップが現れた。「円点点」もミュージカルやアニメIP(知的財産)など、より多く異なるカルチャーのサークルとのコラボレーションを通じ、共に発展していくと、練さんは述べた。(c)CNS-北京青年報/JCM/AFPBB News