【4月14日 CNS】「プレーヤーがさまざまな人生を味わいながらゲームを楽しむことができるのが 、『マーダーミステリー』の魅力です」。中国・陝西省(Shaanxi)西安市(Xi’an)で「マーダーミステリー」の店舗を運営している劉明浩(Liu Minghao)さんが自信に満ちた表情で話す。

 マーダーミステリーとは参加者が物語の登場人物になりきって遊ぶ推理ゲームで、中国の若者の間で急速に人気が高まっている。数時間のゲーム時間中、弱きを助け、強きをくじく侠客を演じたり、名探偵に変身したり。さまざまなキャラクターの間で愛と憎しみのドラマを繰り広げることがマーダーミステリーの魅力だ。

 劉明浩さんは多くのマーダーミステリーを体験し、安定した国営企業を辞めて自ら店舗を構えることを決めた。数年間の努力の末、西安市でマーダーミステリーの店舗を2軒オープンした。ストーリーの背景をプレーヤーに紹介し、ゲームの進行をガイドするため、毎日さまざまな物語の世界を飛び回っている。「台本だけに頼ってプレーヤーを夢中にさせるのは難しい。さまざまな演出も必要です」

 マーダーミステリー市場は急速に発展しており、西安市だけでも何百もの店舗がある。中国全土で2020年にマーダーミステリーに新規参入した企業は3100社を超え、前年比で63ポイント増加した。

 西安市のIT企業で働く王英華(Wang Yinghua)さんはマーダーミステリーを愛好する1人だ。これまで典型的な「低頭族(いつも下を向いてスマホを見ている若者)」だったが、インターネットの世界に長時間浸るのは心身の健康に良くないと考え、マーダーミステリーを楽しむようになった。「心と体をリラックスさせるだけでなく、社会的なつながりも広がります」と効用を語る。

 陝西省社会科学院研究員の王暁勇(Wang Xiaoyong)氏は「現代は都市の生活ペースが速く、職場ではストレスが多い。ボードゲームバーやリアル脱出ゲーム、そしてマーダーミステリーの出現により、若者は楽しみながらプレッシャーから解放されている」と分析する。(c)CNS/JCM/AFPBB News