【4月29日 AFP】イングランド・プレミアリーグのアーセナル(Arsenal)買収に意欲を見せているスウェーデン音楽配信大手スポティファイ(Spotify)の共同創業者、ダニエル・エク(Daniel Ek)氏は28日、クラブに「栄光」を取り戻したいと発言し、米国人オーナーのスタン・クロンケ(Stan Kroenke)氏の決意を試す買収案を提示する意向を示した。

 アーセナルはこの10年、クロンケ氏が自身のクロンケ・スポーツ・エンタープライゼス(Kroenke Sports EnterprisesKSE)を通して筆頭株主として君臨し、2018年にロシアの石油王アリシェル・ウスマノフ(Alisher Usmanov)氏から保有株を買い上げて以降は完全な経営権を獲得している。

 しかし、クラブの成績はクロンケ氏のもとで著しく下降している。2003-04シーズンを最後にリーグ優勝から遠ざかっているアーセナルは現在10位で、5季連続でトップ4入りを逃すことが事実上確定しており、1995年の後では最低の成績でシーズンを終えるコースをたどっている。

 欧州スーパーリーグ構想に賛同したクロンケ氏は、タイトルに飢えるファンのさらなる反感を買い、0-1で敗れた23日のエバートン(Everton)戦では、本拠地エミレーツ・スタジアム(Emirates Stadium)の外に無数のサポーターが集まってオーナーにクラブ売却を求めた。

 こうした状況の中、KSEは27日、クラブを手放すつもりはないと発表していたが、アーセナルを30年間応援しているというエク氏は、実際にオファーを提示する資金の用意があるとしている。米CNBCテレビに対しエク氏は、「非常に真剣だ。そのための資金は確保した。断れないと思われるオファーをオーナーには提示したい。彼らが聞く耳を持ってくれればと思う」と話した。

「自分は8歳の頃からアーセナルのファンだ。心のチームはアーセナルだ。クラブの歴史が大好きだし選手を愛している。もちろんファンも愛している。だからこそ、クラブが栄光を取り戻すための現実的なビジョンを設定する、またとない機会だと考えている。ファンとの信頼を築き、再びファンを魅了したい」

 報道ではクラブOBのティエリ・アンリ(Thierry Henry)氏やパトリック・ビエラ(Patrick Vieira)氏、デニス・ベルカンプ(Dennis Bergkamp)氏が、エク氏の顧問団に加わるとされている。一方でチームを指揮するミケル・アルテタ(Mikel Arteta)監督は、KSEはチームの成績改善に尽力しているとして、擁護する姿勢を示している。(c)AFP/Thomas URBAIN