【4月23日 AFP】爆発して超新星となる星々が輝く銀河や、ブラックホールから噴出するジェット──数十億年前の初期宇宙で起きた劇的な現象が画像に捉えられた。

 欧州に設置されている世界最大級の電波望遠鏡「LOFAR(低周波干渉計)」による観測で、星形成が進む遠方の銀河とみられる電波源約8万個がかつてない精度で検出されたとする一連の研究論文が先ごろ、国際天文学誌アストロノミー&アストロフィジックス(Astronomy and Astrophysics)に掲載された。

 LOFARによる深宇宙サーベイ観測を主導した英エディンバラ大学(University of Edinburgh)のフィリップ・ベスト(Philip Best)氏は、プレスリリースで「これらの銀河の光は数十億年の旅を経て地球に到達した。つまり今、見えているのは銀河の数十億年前、大半の恒星が形成されつつあった時期の姿だ」と説明している。

 LOFAR電波望遠鏡は、アイルランドからポーランドまでの国々に個別に設置されているアンテナ7万基以上を高速光ファイバー網でつないだ巨大ネットワークから得られる信号を組み合わせる。

 これにより、超新星の爆発、銀河団の衝突、活動的なブラックホールなど、衝撃波やジェットで超高エネルギー粒子が加速される現象の研究が可能になるという。

 空の同じ領域を繰り返し観測し、それらのデータをまとめて1枚の超長時間露出画像を作成することで、研究チームは超新星として爆発する星々が放つ電波の輝きを検出できた。

 今回検出された最も遠方の天体は、宇宙の誕生から10億年しかたっていない時期のものだ。現在の宇宙の年齢は約138億年とされる。

 論文執筆者の一人、仏パリ天文台(Paris Observatory)の天文学者シリル・タス(Cyril Tasse)氏は「銀河で星形成が起こると、多数の星が同時期に爆発し、これによって超高エネルギー粒子が加速され、銀河から電磁波やエネルギーが放射され始めます」と話す。

 宇宙が誕生したビッグバン(Big Bang)から約30億年後、「星形成とブラックホール活動のピーク」を迎えた若い銀河の内部は「まさに花火大会です」とタス氏は話した。

 深宇宙の画像は、LOFAR望遠鏡を構成する多数のアンテナからの信号を結合させて生成される。使用する生データの量は4ペタバイト(1ペタ=1000兆)以上で、DVD約100万枚分に相当する。(c)AFP