【8月13日 AFP】天文学者らは12日、地球から120億光年離れた距離に、天の川銀河(銀河系、Milky Way)に似た銀河を発見したと発表した。これまでに発見された天の川銀河に似た銀河の中では最も遠くに位置する「赤ちゃん」銀河は、「驚くほど秩序があり」、初期宇宙に対するこれまでの認識をくつがえすものであるという。

【特集】エイリアン?それとも…? 宇宙の「謎」写真集

 発見に関わった欧州南天天文台(ESO)によると、「SPT0418-47」と呼ばれるこの銀河は、その光が地球に到達するまで120億年かかる場所にあることから、宇宙誕生から14億年しかたっていない頃の銀河を観測していることになるという。これは、誕生から140億年たった現在の宇宙の10%にすぎず、銀河が形成段階にあった時代にあたる。

 ESOの発表によると、この「赤ちゃん」銀河は世界最高の性能を誇る南米チリの巨大電波望遠鏡「アルマ(ALMA)」で、重力レンズ現象を用いて観測された。

 SPT0418-47は、回転する円盤と銀河中心部周辺に星が密集した「バルジ」と呼ばれる膨らみという、天の川銀河に典型的な特徴を持っている。ESOによると、バルジがこれほど遠くで見つかったのは初めてで、天の川銀河に似た銀河としては最も遠いものになるという。

 研究者らは、SPT0418-47ほど宇宙初期に形成された銀河は無秩序で、天の川銀河に似た成熟した銀河によくみられる構造はまだないと考えていた。しかし、ESOはこの銀河が「驚くほど秩序があり、初期宇宙のすべての銀河は乱れて不安定だったというこれまでの学説と矛盾している」ようだと指摘した。

 ESOはまた「この予想しなかった発見は、初期宇宙がこれまで考えられていたほど混沌(こんとん)としていたわけではないかもしれないことを示しており、秩序だった銀河がビッグバン(Big Bang)直後にどのように形成されたかということについての多くの疑問を提起する」と述べている。(c)AFP/Laurence COUSTAL