【3月31日 AFP】オーストラリアは31日、東京五輪で代表選手が着用する公式ユニホームを発表した。しかし、スポーツ用品大手アシックス(ASICS)製だったことから、中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での強制労働をめぐる世界的な騒動に巻き込まれた。

 アシックスが新疆での強制労働による生産が疑われる「新疆綿」をめぐる問題に直面していることから、オーストラリアオリンピック委員会(AOC)にも批判が及んだ。

 AOCのイアン・チェスターマン(Ian Chesterman)副委員長は、「豪選手団のユニホームに、その地域(新疆)産の綿が一切使われていないと保証された」と述べた。

 アパレル大手各社は最近、強制労働による生産が懸念される「新疆綿」の調達をやめると発表した。

 しかし、アシックスは当初、中国という巨大市場を失うことを恐れ、「新疆綿を購入して支え続ける」と中国のソーシャルメディアでコメントしていた。

 アシックスの広報は31日、当初のコメントは本社が許可したものではなく、会社としての立場を示すものではないとAFPに語った。「人権を尊重し、環境基準を満たせるよう、取引先と緊密に連携できるよう全力を尽くす」

 共産党機関紙・人民日報(People's Daily)系の環球時報(Global Times)は30日、アシックスが当初のコメントを撤回したことで、中国で不買運動の対象に加わり「壊滅的損失」を被っていると報じた。

 人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)豪支部代表のエレイン・ピアソン(Elaine Pearson)氏はAFPに対し、「新疆から綿を調達している企業製のユニホームを着たいという選手は、オーストラリアにいないだろう」と述べた。

 中国産の綿は、世界の生産量の約20%を占めているが、その90%は新疆産とみられている。(c)AFP