迫られる命の選択 仏パリの病院、コロナ対応限界間近
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【3月29日 AFP】仏パリの病院は新型コロナウイルス患者の急増で満床に近づいており、受け入れを断らざるを得ない状況に陥る恐れがあると、医療関係者らが28日、警鐘を鳴らした。
パリ公立病院連合(AP-HP)の幹部レミ・サロモン(Remi Salomon)氏はニュース専門局BFMTVに対し、「今後10~15日、または3週間以内で、対応しきれなくなる可能性がある」として、学校の休校を含む新たなロックダウン(都市封鎖)が必要だと訴えた。
同日、41病院の危機管理責任者が週刊紙ジュルナル・デュ・ディマンシュ(Journal du Dimanche)に公開書簡を発表。集中治療を受けられる患者を選定する準備に入ったと明らかにした。「沈黙を続ければ、われわれは医師倫理に背くことになる」
トリアージ(患者の優先順位付け)は成人患者が救急医療を受診する場合など、新型コロナへの感染の有無を問わずすべての患者に適用される。このような状況は「近年で最悪の(テロ)攻撃の際にもなかった」という。
夕刊紙ルモンド(Le Monde)の論説記事では、救急医9人が「どの患者を生かし、どの患者を選択しないかを、明確な基準がないまま医療従事者に判断させることで、政府は偽善的にその責任を縮小させている。行政府は明確かつ公然とその政治的判断がもたらす健康上の結果に責任を負うべきだ」と主張した。
サロモン氏はBFMTVのインタビューで、ワクチン接種の進展によって5月か6月には医療機関の負担は軽減されると考えられ、フランスの新型コロナ流行は、第3波が「最もひどい」が「おそらく最後」になるとの見方を示した。(c)AFP