【3月26日 AFP】国際自然保護連合(IUCN)は25日、絶滅危惧種をまとめた「レッドリスト(Red List)」を更新し、これまで単一種とみなしてきたアフリカゾウを2種に分類して、うち1種を絶滅一歩手前の危機にあると評価した。長年の密猟と生息地の縮小により、アフリカ全土でゾウの個体数が激減していると警鐘を鳴らしている。

 IUCNによるとアフリカでは、ほとんどの場所でゾウを取り巻く状況が全体的に悪化している。特に、熱帯林に生息するシンリンゾウ(マルミミゾウ)は大打撃を受けており、過去30年余りで個体数が86%以上減少。今回、絶滅の恐れが最も高い「深刻な危機(CR)」に分類された。

 一方、草原地帯に生息するサバンナゾウも、個体数がこの50年間に少なくとも60%減少し、絶滅の恐れが2番目に高い「危機(EN)」にあると評価された。

 これまでアフリカゾウは単一種として、絶滅危惧種のうち最も危険度が低い「危急(VU)」に分類されていた。IUCNは、最新の遺伝学的研究結果に基づき、2種に分けて評価すべきだとの判断で専門家らが合意したと説明している。

 IUCNのブルノ・オベリ(Bruno Oberle)事務局長は、「きょう発表された新たなIUCNレッドリストの評価は、アフリカゾウ2種が絶え間ない苦難に直面していることをはっきり示している」と述べた。

 50年前、アフリカゾウの生息数は150万頭だったが、2016年に行われた最新の大規模調査では約41万5000頭しか生息が確認できなかった。(c)AFP/Nina LARSON