セクハラ問題の韓国金メダリスト、中国国籍で北京五輪目指す 報道
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【3月9日 AFP】スピードスケート・ショートトラック男子の五輪金メダリストで、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)をめぐり母国韓国で資格停止処分を受けた林孝俊(Lim Hyo-jun、イム・ヒョジュン)が、中国国籍を取得して同国で開催される来年の北京冬季五輪を目指していると報じられた。
2018年に韓国で行われた平昌冬季五輪の1500メートルで金メダル、500メートルで銅メダルを獲得している24歳の林は、北京五輪に出場すれば2大会連続で母国大会に挑むことになる。
林は韓国のナショナルトレーニングセンターで男子選手のズボンをチームメートの前で無理やり下ろしたとして訴えられ、昨年に裁判で有罪判決を受けた。判決は二審で覆り、現在は最高裁の判断を待つ状況となっている。
この問題では、2019年8月に大韓スケート連盟(KSU)が林に1年間の資格停止処分を下した。係争中につき現在は処分保留となっている中、裁判で再び有罪が確定すれば、同選手は韓国代表として北京五輪に出場する道が閉ざされることになる。
そのため林は、中国に帰化して同国代表として競技に臨むことを決断したと、韓国メディアで伝えられている。テレビ局文化放送(MBC)では、同選手が新しいパスポート(旅券)を取得して5日に中国へ向かい、新型コロナウイルス対策で義務付けられている隔離期間を経て中国代表に合流する見通しであると報じられた。
林のエージェンシーによれば、同選手は自身のキャリアにとって何が最善であるかという考えに基づき、今回の決断を下したという。
ここ2年間は韓国でトレーニングできなくなっている同選手について、聯合(Yonhap)ニュースは代理人側の言葉として、「法廷闘争が長引いていることから、林が韓国で代表選手に選ばれ、北京で2大会連続の五輪金メダル獲得を目指すのは困難になっている」と伝え、「とにかく彼は再びスケートを履く道を見つけることを望んでいる」と報じた。
韓国の有名スケーターが国籍を変更するのは、これが初めてではない。2006年トリノ冬季五輪のスピードスケート・ショートトラック男子で三つの金メダルに輝いた安賢洙(Ahn Hyun-Soo、アン・ヒョンス)氏は、けがや韓国スケート関係者との対立の果てに2011年にロシア国籍を取得し、ビクトル・アン(Viktor Ahn)に改名してソチ冬季五輪に出場した。(c)AFP