【3月1日 AFP】タイの首都バンコクで2月28日、プラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)政権の退陣を求めるデモが行われ、警察はゴム弾や放水銃、催涙ガスを使用した。バンコクの抗議デモで、警察が実力行使に踏み切ったのは数か月ぶり。

 タイの若者主導の抗議運動はここ数か月、新型コロナウイルス流行の第2波を受け勢いを失っていたが、先日著名な運動指導者4人が王室への不敬罪で起訴、勾留されると、再び活発化している。

 バンコクではこの日、推定2000人のデモ隊が、戦勝記念塔(Victory Monument)があるロータリー交差点からプラユット首相が住む近くの軍人用官舎まで行進した。

 参加者の中には、出稼ぎ労働者のミャンマー人も多数おり、母国でアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問が拘束された先月1日のクーデターに抗議した。

 その後、多数の参加者が貨物コンテナや鉄条網で作られたバリケードを突破し、官舎の敷地入り口を警備していた機動隊と対峙(たいじ)した。

 緊迫したにらみ合いが続く中、機動隊はデモ隊排除のため放水車と催涙ガスを使用した。殺傷能力こそないものの、バンコクの抗議デモでは数か月ぶりの実力行使となった。現場にいたAFP記者によると、機動隊はゴム弾も発射した。

 エラワン救急医療センター(Erawan Emergency Medical Centre)によると、デモ参加者16人が負傷し、機動隊員1人が意識不明となった。AFPの取材に応じたラチャウィティ病院(Rajavithi Hospital)の看護師は、機動隊員は死亡したと話したが、詳しい状況は明らかにしなかった。

 NGO「人権のためのタイ人弁護団(Thai Lawyers for Human Rights)」によると、16歳の1人を含む19人が逮捕された。(c)AFP