【11月24日 AFP】タイで7月から続いている反政府デモをめぐり、緊張が高まっている。警察は先週、デモ隊を鎮圧するために催涙弾を使用した他、刺激剤の入った水を放出。デモ隊6人が警官に撃たれた。

 首都バンコクでは25日、大規模なデモが予定されている。長らく政情不安が続くタイの現状をまとめた。

■態度を硬化させるデモ隊

 時には数万人が参加した4か月に及ぶデモで、参加者らは徐々に態度を硬化させている。デモの指導者らは、妥協するつもりはないと警告。少し前までは考えられなかった反王室スローガンや王室に対する侮辱の言葉も多く聞かれるようになっている。

 一方、警察の機動隊は先週、デモ隊に対し強硬措置も辞さない構えを見せた。

 今回のデモは学生主導で、ソーシャルメディアなどで幅広い支持を集めている。専門家らは10年前にバンコクで大規模なデモを展開した「赤シャツ隊」が今回のデモに加わる可能性も指摘している。

 数か月にわたり続くデモの参加者らは、軍政下に制定された憲法の改正やプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相の退陣のみならず、これまでタブーとされてきた王室改革も求めている。

 バンコクにあるチュラロンコン大学(Chulalongkorn University)のシリパン・ノックスワン・サワディー(Siripan Nogsuan Sawasdee)教授は、デモ隊は王室改革を求めることでタブーを打ち破り、すでに新たな政治文化の出現を可能にし、タイの歴史上前例のない表現の自由を推し進めていると説明した。

■政府は「行き当たりばったり」

 政府は7月に始まったデモに対し、慎重に対応している。緊急事態宣言を出しては撤回したり、デモの指導者らを逮捕しては釈放したりしている。

 ナレースワン大学(Naresuan University)のポール・チャンバース(Paul Chambers)氏は「デモが始まって以来、政府は行き当たりばったりの対応をしている」と述べた。

 これまでのタイのデモとは異なり、今回のデモは都市部中流階級の若者が中心となっている。

 2010年にバンコク中心部で起きた赤シャツ隊のデモでは、取り締まりの過程で90人が死亡した。当局は、国際的なイメージが傷ついたこのときの事態を繰り返さないよう警戒しているようだ。

 ただし、最近になって政府は強硬な姿勢を強め、王室の名誉を傷つける行為を禁じる不敬罪の「刑法112条」をちらつかせ始めている。