脱北者の前例なき挑戦 英地方議会選に出馬
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■ 新しい「母なる地」
教職経験があるパク氏は、生涯教育を行っている大学で英語を学びながらマンチェスターの韓国料理店で働き、人権運動に携わるようになった。故国での人権侵害を公にし、同胞を英国に定住させるための支援をしている。
「ベリーが私の母なる地」と語るパク氏。市場町として栄えたベリーで英語を学んでいくのは、自分が生まれ変わるような体験だったと言う。
保守党に入党したのは2016年。中道右派の同党は他党に比べ、政策的に難民認定申請者をそれほど歓迎していないが、パク氏はベリーの区議会議員候補に選出されて以来、保守党員として政治活動することに何の矛盾も感じていない。保守党が重んじる価値観は「自由、公正、教育、家族生活」だとして、これは北朝鮮でも英国でも多くの国民が必要としているとパク氏は説く。
しかし、コロナ禍のため選挙活動が中断され、当選の見込みは薄い。パク氏が出馬を予定している区は、野党・自由民主党の地盤で、2019年の前回の選挙では保守党候補は5位に終わっている。
だが、複数政党による自由選挙に出馬できるだけでも、パク氏にとっては目新しい。形式的なものにすぎない北朝鮮議会で選挙の機会が与えられるのは、世襲制指導者の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong Un)朝鮮労働党総書記が率いる支配政党が選んだ単一候補だけだ。