■ 「他の人たちの自由のために闘いたい」

 勝敗にかかわらず、「今回の経験で、この先に向けて人生が上向いた」とパク氏は語る。「保守党と協力を続け、難民だけではなく住民とも協力して地域の仕事を行っていきたい」

 脱北者の中には、民主的な韓国で政治家としてのキャリアを築き上げた人もいる。

 テ・ヨンホ(Thae Yong Ho)氏は在ロンドン北朝鮮大使館の公使だったが、2016年に韓国に亡命。昨年、同国で初の脱北者出身の国会議員に選ばれた。

 ロンドン・東洋アフリカ研究学院(School of Oriental and African Studies)の北朝鮮専門家ヘーゼル・スミス(Hazel Smith)氏は、北朝鮮政府は西側諸国への亡命者をたいていは「取るに足らず」と突き放すが、テ氏のような知名度の高い人物は間違いなく監視していると指摘する。

 パク氏についてスミス氏は、「北朝鮮出身者が英国で保守党員を標榜(ひょうぼう)するのは、確かにニュースだ」と言う。「北朝鮮人も、平等に政治プロセスに参加できるという表れだから」

「しかし、ほとんどの北朝鮮人の場合、もし政府に批判的な立場を取るなら、模範とするのは中国東北部や韓国だ」とスミス氏は続けた。

 パク氏は、自分の政治的な知名度は高まったが、北朝鮮の工作員には目を付けられていないと話し、気付いたら黙っていないと明言した。

「私の過去、家族、友人、全てを奪っていったけど、私たちの精神だけは殺せなかった」とパク氏は言う。「だからこそ私たちは、この悪とずっと闘っている。ひるむことなく他の人たちの自由のために私は闘いたい」 (c)AFP/Jitendra JOSHI