【2月1日 AFP】脱北したことが先週明らかになった北朝鮮の駐クウェート大使代理だった男性が、1日の米CNNとのインタビューで、10代の娘を学校へ送り届けるふりをして韓国大使館へ亡命した経緯を語った。

「お母さん、お父さんと一緒に、自由を見つけに行こう」──リュ・ヒョヌ(Ryu Hyun-woo)氏は車の中で娘にそう告げ、これから韓国大使館へ向かうと明かしたと、当時を振り返った。娘は、人生を一変させる突然の提案に「ショック」を受けた様子だったが、「いいよ」と答えたという。そこで、リュ氏は学校ではなく、在クウェート韓国大使館へと妻子を連れて行った。

 リュ氏一家は2019年9月に韓国に到着したが、その事実は先週まで伏せられていた。メディア露出は今回のCNNインタビューが初めて。

 韓国に移住して1年以上が過ぎたとき、リュ氏は娘に、新しい家のどこが一番好きかと聞いた。すると娘は、「好きなだけインターネットができるところ」と答えた。

 リュ氏は現在、北朝鮮に残してきた自分と妻の親類の身の安全を心配している。北朝鮮政府は、特権を有する高官が脱北した場合、親類縁者を罰することで知られているためだ。83歳の母親らについて話しながら涙ぐんだリュ氏は、「21世紀にもなって、北朝鮮がこのような封建的な一族連座制の処罰を行っていることにぞっとする」と述べた。

 リュ氏は、複数の報道によれば、北朝鮮最高指導部の秘密資金を管理する朝鮮労働党「39号室(Office 39)」の室長だった全日春(チョン・イルチュン、Jon Il Chun)氏の娘婿。2017年から駐クウェート大使代理を務めていた。

 北朝鮮の財政についてリュ氏は、かつて内部事情を知っていた者として、国際的な制裁によって大きな打撃を受けているとの見方を示し、「制裁は続けるべきだと思う」と語った。(c)AFP