【1月29日 AFP】ドイツの予防接種常任委員会(STIKO)は28日、英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)が開発した新型コロナウイルスワクチンについて、65歳以上の高齢者に対する使用は推奨できないと勧告した。英国と欧州連合(EU)はワクチンをめぐり対立しており、今回の勧告により新たな火種が加わった。

 科学分野の専門家で構成される同委員会は、「65歳以上に対するワクチンの有効性を評価するデータが不足している」として、アストラゼネカ製ワクチンの接種対象者は18~64歳に限定されるべきだと表明した。

 アストラゼネカとオックスフォード大学(University of Oxford)が共同開発した同ワクチンはすでに英国で高齢者に広く使用されている。EUでの認可はまだ下りていないが、欧州医薬品庁(EMA)は29日に同ワクチンを承認する見通しだ。

 アストラゼネカの広報担当者は、最新の臨床試験(治験)データでは65歳以上の年齢層での有効性が示されていると反論。ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相も記者らに対し、英規制当局は同ワクチンについて「非常に優れていて、有効性があり、高い予防効果が得られる」ことを確認していると表明した。

 アストラゼネカはこれに先立ちEUに対し、欧州の工場での問題により2021年第1四半期のワクチン供給量が当初約束していた量の4分の1となると通達。EUとの間であつれきを生んでいた。

 さらに26日には、アストラゼネカのパスカル・ソリオ(Pascal Soriot)最高経営責任者(CEO)が、EUよりも3か月早く契約を交わしていた英国へのワクチン供給を優先すると表明したことで、対立が激化した。(c)AFP/Hui Min NEO with Jitendra JOSHI in London and Marc BURLEIGH in Brussels