【2月2日 AFP】ポーランドは、欧州連合(EU)の中でもとりわけ石炭に依存している国だが、EUが温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標としている2050年までに、国内のすべての炭鉱の閉鎖をめざしている。だが専門家らは、このグリーン化の始動が遅かったため前途は多難であると指摘する。

 共産主義から民主主義への移行から30年余り、ポーランドでは市場改革と経済成長が順調に進んでいるが、いまだに電力の80パーセントを石炭に頼っている。

 同国の巨大なベルハトゥフ(Belchatow)褐炭火力発電所は、EU最大の「温室効果ガスの単一排出源」と域内や複数の国際的な環境団体から名指されている。

 共産主義時代の名残である発電所は、近隣の広大な露天掘りの石炭を燃やし、ポーランドのエネルギー需要の約2割を満たしている。

 EUの排出実質ゼロ目標に合致するためには、ポーランドは数十年前から石炭依存から脱却すべきだったと指摘するのは、同国シレジア大学(Silesian University)のピオトル・スクバラ(Piotr Skubala)教授だ。

 炭鉱では現在でも8万人以上の雇用があり、いくつもの大きな国営公益事業を支える。

 ポーランドの排出量は近年も高水準を維持しているが、保守与党「法と正義(PiS)」は石炭を重視する。

 しかし高い採掘コストとEUの炭素税により石炭ベースのエネルギーは競争力を失っているため、ポーランド政府内で政策再考が急務だ。

 ポーランドの再生可能エネルギー研究所(IEO)の所長グジェゴシュ・ビシニエフスキ(Grzegorz Wisniewski)氏によると、同国のエネルギーコストは、他のEU加盟国平均の2倍近くに上り、1メガワット時につき50ユーロ(約6300円)だ。「ポーランドが石炭に依存する限り、毎年エネルギーコストが劇的に上昇する」とAFPに語った。