■グリーンディール

 EUのエネルギー対策「グリーンディール(Green Deal)」を通じた資金が、ポーランドのカーボンニュートラル(炭素中立)実現に不可欠だ、とミハウ・クルティカ(Michal Kurtyka)気候相は発言している。

 各種の試算によると、グリーン化のコストは7000億~9000億ユーロ(約89兆~114兆円)に上る。

 ポーランドの2021~27年のグリーン化事業へは、最大560億ユーロ(約7兆9000億円)のEU資金が投入される。

 ポーランドでグリーンエネルギーは現在、需要の約16パーセントを補っている。今後20年間で急成長し30万人の雇用を創出するとクルティカ気候相は楽観している。「誰も置き去りにしない」とAFPに明かした。

■太陽光ブームの兆し

 ポーランドは国が支援する電気自動車工場が2024年までに生産を開始すると昨年12月中旬に発表した。この事業で、石炭依存のシレジア(Silesia)地域に最大1万5000人分の雇用が創出される。

 ベルハトゥフ発電所を運営するPGEをはじめ国営エネルギー4社が、合弁企業「エレクトロモビリティー・ポーランド(ElectroMobility Poland)」を通じて新工場を支える。

 ポーランド最大の公益事業であるPGEは、2050年までに風力エネルギーを中心とする二酸化炭素排出ゼロのエネルギーに100パーセント移行することを約束している。

 クルティカ気候相は、2033年までにポーランド初の原子力発電所を始動することも同国のエネルギー計画の一環と説明するが、ビシニエフスキ氏ら専門家は、原子力という選択肢は金がかかりすぎると主張する。

 一方、一般家庭に太陽光パネルを設置するための政府補助金プログラムは、大成功となった。

「マイ・エネルギー(My energy)」と呼ばれるこの制度により、太陽光発電の設備容量が2020年の間にほぼ倍増し、30万戸の屋根にパネルが設置されている。電気は地元の送電網にも供給される。

「2030年までに100万戸を目指す」とクルティカ気候相は言う。各地の送電網をつなぐ新しいネットワークが、共産主義時代の石炭依存の中央主権的なシステムに取って代わると強調した。(c) AFP/Mary SIBIERSKI