【12月30日 AFP】新型コロナウイルスの感染拡大が最初に確認された中国中部・武漢(Wuhan)における同ウイルスへの感染者数が、公式発表の約10倍に上る可能性があることが、中国保健当局の調査で明らかになった。

 中国疾病対策予防センター(CCDC)の調査報告書によると、武漢住民1100万人の約4.4%が、4月までに同ウイルスに対する抗体を保有していたという。

 これは4月までに感染者が約48万人いたことを示唆しており、これまでに公式発表されている累計感染者の5万人の約10倍となる。

 中国が公式発表する感染者数には無症状者が含まれていないことも、報告されている感染症例数と実際の感染者数が食い違う一因になっていると考えられる。

 全国3万4000人以上を対象としたこの調査が実施されたのは4月だが、結果が公表されたのは今月28日夜になってからだった。

 CCDCの研究員は30日、AFPの取材に対し、データの相違は中国だけに限ったことではないと指摘。「複数の国が血清調査結果を公表しているが、大半の場合、新型コロナウイルスに対する抗体保有者数が、確認された症例数の数倍に上っている」「よってこの種の相違は広く認められる現象だ」と述べた。

 中国は、感染状況に関する内部告発を抑え込んだり、1月初めに何日間も感染者数の報告を怠ったりしたなどとして、同ウイルスへの初期対応をめぐって国内外からの批判にさらされている。

 国家衛生健康委員会(NHC)の30日の発表によると、国内の累計感染者数は8万7027人、死者数は4634人。同国では経済活動や国内の移動制限が解除されており、主要経済国の中で唯一、今年の経済成長率がプラスとなっている。(c)AFP