■地元に根差した男

 バイデン氏はウィルミントンからほとんど出ないと言っても誇張ではない。

 2015年に脳腫瘍で亡くなった息子、ジョセフ・「ボー」・バイデン3世(Joseph "Beau" Biden III)氏は、1972年に自動車事故で亡くなった最初の妻ネイリア・ハンター(Neilia Hunter)さんと赤ん坊だった娘ナオミ(Naomi Biden)ちゃんともに、地元のセント・ジョセフ・オン・ザ・ブランディーワイン・カトリック教会(Saint Joseph on the Brandywine Catholic)に眠っている。

 きらびやかなマンハッタン(Manhattan)やフロリダ州がトランプ氏の一部になっているように、バイデン氏には、長年にわたり定期的に礼拝に出席してきたこの教会と墓地が自分の一部になっている。

 全米各地で大規模な選挙集会を開くために新型コロナウイルス感染防止策を軽視したトランプ氏とは対照的に、バイデン氏は選挙活動のほとんどを自宅の地下室からライブ配信で行った。

 こうしたバイデン氏のやり方を、トランプ氏はしつこくばかにした。だが、背後に映り込んだ本や家族写真、米国旗といった素朴な品々は、バイデン氏は他人に共感できる人間であり、うまくやっている実直な「地元のやつ」だという印象を与えたのだった。(c)AFP/Sebastian Smith