【11月8日 AFP】筋金入りの政治家、ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領。プライベートでは悲劇に見舞われ、何十年にもわたるワシントンでのキャリアで多くの浮き沈みを経験してきたが、ついに大統領という最高の賞を手にした。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)がホワイトハウス(White House)に横柄さと大言壮語を持ち込んだとすれば、バイデン氏がもたらすのは安心感だ。

 白髪に仕立ての良いスーツ、あらゆる点でベテラン上院議員の風格を持つバイデン氏の売りは、神経衰弱の瀬戸際にある米国民を落ち着かせる父親や祖父のような姿だ。

 トランプ氏に「スリーピー・ジョー(寝ぼけたジョー)」と呼ばれてもバイデン氏は、嵐のような共和党統治の後で国民が少しばかり休息を求めていることを確信しているのだろう。

■長い道のり

 バイデン氏は間もなく78歳の誕生日を迎え、史上最年長での大統領就任となる。上院議員初当選時は、史上最年少から数えられる若手だった。後に米国初の黒人大統領の下で8年間、副大統領を務めたバイデン氏は、生きた歴史のような人物だ。

 しかし、そうした成功の一方で、屈辱的な落選にも見舞われている。特に1988年と2008年の大統領選に向けた民主党候補指名争いでは、1州も勝利できなかった。

 今回の民主党候補指名争いでも、熱弁を振るうバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員にアイオワ、ニューハンプシャー、ネバダの各州で敗北し、惨敗の運命かと思われた。

 だが、バイデン氏は民主党支持者の最重要基盤であるアフリカ系有権者の圧倒的支持を得て、サウスカロライナ州予備選で返り咲いた。そして自分の選挙は「打ちのめされた人々、疎外された人々、取り残された人々のための運動だ」と宣言した。