【12月9日 AFP】中国の大学女子サッカーの試合で、髪を染めていた選手の出場が認められず、チームが不戦敗になる出来事があった。国営紙の新京報(Beijing News)がこのニュースを報じると、SNSでは多くの人が怒りの声を上げている。

 問題の件が起こったのは、11月30日に行われた南東部福建(Fujian)省の大学リーグの福州大学(Fuzhou University)と集美大学(Jimei University)の試合で、報道によれば、両チームの選手は髪を染めて試合に出場するのは禁止だと事前に通達されていたにもかかわらず、指示に従っていない選手が両チームにいることが直前になって分かった。

 福州大学のある選手は、慌てて髪を元の色に戻そうとしたが、乾かすのが間に合わなかった。現場にいた人物によると、何人かの選手は近くの店に黒のヘアカラーを買いに走ったが、それでも1人は「まだ十分に黒くない」という理由で出場を認められなかったという。

 結局、試合を行うのに必要な人数をそろえられなかった福州大学は、試合放棄で0-3の敗戦扱いになった。

 AFPの取材に対して同大学はコメントを控えたが、新京報に対しては、染髪禁止は同国教育部から下された「関連規制に従う」ものだったと話している。

 中国サッカーでは以前にも、男子代表に対してタトゥーを隠すよう指示が下されたことがあった。その中でこうした茶番のような出来事が起こり、個人の表現の自由が狭まっていることが改めて示されると、中国版ツイッター(Twitter)のウェイボー(微博、Weibo)ではこのニュースがトレンド入りして4億ビュー以上を集め、多くの人が怒りの声を上げている。

 あるユーザーは「北朝鮮のニュースかと思ったよ」とあきれた。

 習近平(Xi Jinping)国家主席は大のサッカー好きで、中国のサッカー強国化を目指して壮大な計画を立てている。しかし、社会の均質化を目指す共産党はサッカーを標的にもしており、男子の代表は長袖シャツやテーピングで腕のタトゥーを隠すのが常態化している。(c)AFP/Peter STEBBINGS