【11月16日 AFP】ドイツ人船長のカロラ・ラケッテ(Carola Rackete)氏(32)は1年半ほど前、イタリア・ランペドゥーサ(Lampedusa)島に当局に従わずに移民救助船を入港させ、難民保護活動家らから英雄とたたえられた。

 ラケッテ氏は昨年6月29日、地中海で救助した不法移民53人のうち、上陸を許可されなかった43人を乗せた移民救助船「シーウオッチ3(Sea-Watch 3)」をランペドゥーサ島に入港させ、3日間、収監された。

 現在、ラケッテ氏は船長の帽子を黄色の防水ジャケットに取り換えて、ドイツ中央部にある古代のカシの木に囲まれたダネンロード(Dannenrod)の森の泥の中を歩いている。

 ラケッテ氏は今年の9月から、環境保護活動家のグループとともにダネンロードの保護地域を占拠して、自動車道路建設のための森林伐採を阻止しようとしているのだ。

「これは市民社会が『もうたくさん』と声を上げているのです」とラケッテ氏は抗議参加者が建てた高さ10メートル以上の複数のツリーハウスを指して言った。活動家数十人がそこに住み、当局による樹木伐採を阻止しようとしている。

「(ドイツでは)何百件もの道路建設計画があります。(中略)気候変動の危機だというのに、意味が分かりません」とラケッテ氏は語った。

 ラケッテ氏は、まずドイツで海洋航行の訓練を受けた後、英国で環境保護の修士号を取得。国際環境NGOグリーンピース(Greenpeace)で活動するなど、これまでにも環境保護に取り組んできた。(c)AFP/Yannick PASQUET