【11月10日 AFP】第2次世界大戦(World War II)時に英国の首相だったウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)が描いた油絵が10日、競売に掛けられる。お気に入りのウイスキーを描いたもので、競売はサザビーズ(Sotheby's)がオンラインで主催する。

 静物画「Jug with Bottles(水差しと瓶)」に描かれているのは、ジョニーウォーカー(Johnny Walker)のブラックラベル(Black Label)のボトルとブランデーのボトル、水差しとグラス。サザビーズによると、朝からよくソーダ割りを飲んでいたほどの酒好きで知られたチャーチルの好みが映し出されている。

 落札予想価格は最高で25万ポンド(約3400万円)。アマチュア画家だったチャーチルが1930年代に仕上げた作品で、1940年代に、米国の欧州特使を務めた実業家W・アベレル・ハリマン(W. Averell Harriman)氏に贈られた。

 ハリマン氏は1942年、チャーチルとソ連(当時)のヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)と共にモスクワ会談に出席。絵を贈られたことから、ハリマン氏がチャーチルと友好的な関係を築いていたことが分かる。

 英紙タイムズ(Times)によると、この時期ハリマン氏は、チャーチルの息子ランドルフ(Randolph Churchill)さんの妻パメラ(Pamela Churchill)さんと関係を持っていたが、チャーチルがそのことを知っていたかは不明だという。

 パメラさんはその後、1970年代にハリマン氏と結婚。1997年に亡くなった後、絵画は売りに出された。

 チャーチルに絵の才能はなかったという批評もあり、「Bottlescape(ボトルスケープ)」という作品は、かつてニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙に「目を覆いたくなる出来」と酷評された。

 だが、チャーチルの絵画は高値で取引されている。娘のメアリー・ソームズ(Mary Soames)さんのコレクションにあった「The Goldfish Pool at Chartwell(チャートウエルの金魚の池)」は2014年、サザビーズで180万ポンド(現在の為替で約2億5000万円)という記録的な価格で落札された。(c)AFP/Anna MALPAS