■悲劇に傷ついていた家族を一つに

 夫妻は、2度の大統領選撤退と8年間の副大統領時代を経験し、そして脳腫瘍を患っていた息子ボー氏の死にも共に向き合ってきた。

 8月の民主党全国大会で公開された動画に登場したバイデン氏は、悲劇に傷ついていた一家にジル夫人がもたらした影響について、「彼女は、私たち(家族)をもう一度、一つにしてくれた」と語っている。「彼女は、とんでもなくタフで誠実だ」

 そして、バイデン氏にとって3度目の出馬となった今回の大統領選では、ジル夫人は、夫の応援者としてますますパワフルに活動。時には夫以上と思えるほど精力的に選挙運動を展開してきた。

 8月の民主党全国大会の動画では、1990年代に英語の授業を受け持っていたデラウェア州ウィルミントン(Wilmington)の高校の教室からスピーチし、夫の人物像、能力、そして思いやりの心について私的な言葉で語り、夫を推薦した。

「壊れてしまった家族をどのように回復させればいいのか」という問題について、逆境を乗り越えたバイデン氏の粘り強さに触れ、この資質を備えた同氏は、多くの死者を出している新型コロナウイルスの感染拡大や、大規模なリストラ、人種的な不公平をめぐる緊張に苦しんでいる米国の数百万の家族と理解し合えると自分は考えていると演説。「それは国を回復させるのと同じ方法だ」「愛と理解、共感を示す少しの行動、勇気。そして揺るぎない信念だ」と続けた。