【10月13日 AFP】北朝鮮が国連(UN)制裁を迂回(うかい)して武器輸入を試みていることが、英国や北欧で11日に放映されたドキュメンタリーで暴露されたとして、スウェーデンとデンマークは12日、国連と欧州連合(EU)に警告する方針を示した。

 問題のドキュメンタリーは、英BBC放送や北欧のテレビ局で11日に放映された「ザ・モール(The Mole、モグラ=スパイの意)」。10年近くにわたってベールに包まれた北朝鮮のネットワークに潜入していたというデンマーク人の元シェフと元軍兵士のフランス人俳優が登場する。

 スウェーデンとデンマークの外相は共同声明で、「DPRK(朝鮮民主主義人民共和国)関連の多くの活動に関する『ザ・モール』というドキュメンタリーの内容を深く憂慮している」「これらの懸念を受け、われわれは国連の制裁委員会にこのドキュメンタリーについて警告する任務を自国の国連大使に課すことにした。EUでもこの問題を提起する」と述べた。

 ドキュメンタリーには現在失業中で障害手当を受給しているデンマーク人の元シェフ、ウルリッヒ・ラーセン(Ulrich Larsen)氏が登場し、北朝鮮が武器の輸出入を禁じる国連制裁を逃れていると証言する。

 ラーセン氏は北朝鮮当局への貢献を装い、ドキュメンタリーを監督したマッツ・ブリュガー(Mads Brugger)氏と裕福な実業家を演じたフランス人俳優ジム・ラトラシェクボルトルップ(Jim Latrache-Qvortrup)氏の手を借り、武器や麻薬取引に関連する多額の投資を目的とした機関の設立話を北朝鮮の当局者に持ちかける。この取引で、ヨルダンの実業家による石油販売を含む三角取引を介して、ウガンダの島にある地下兵器工場との偽の契約を締結させることに成功する。

 ドキュメンタリーの一部は、隠しカメラで撮影されており、駐スウェーデン北朝鮮大使がこの地下兵器工場をめぐる計画について認める場面も出てくる。(c)AFP