【9月23日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は22日、国連総会(UN General Assembly)の演説で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)をめぐり、中国の責任を厳しく追及するよう求めた。一方、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席はウイルスとの闘いを「政治問題化」しないよう警告した。

 トランプ氏は11月の大統領選を控え選挙戦態勢で演説に臨み、世界保健機関(WHO)の対応を批判したほか、ウイルスを「中国ウイルス」とも呼んだ。

 今回の国連総会は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各国から代表1人がマスクを着用して参加するのみで、ほぼすべてビデオ会議の形式で開催された。

 トランプ氏は事前に収録されたビデオ映像で、「われわれはこの疫病を世界に振りまいた国、中国の責任を追及しなければならない」と言明。米国の地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」からの離脱を主導した同氏は演説で、中国の炭素排出量やプラスチックごみの投棄も批判した。今回の総会では技術的問題を回避する狙いで各国首脳は前もってビデオ映像を送付するよう指示されていたため、習氏はトランプ氏の演説にすぐに反発することができなかった。

 それでも中国の張軍(Zhang Jun)国連大使は習氏の演説の映像公開に際し、中国政府はトランプ氏の「根拠のない主張を拒絶する」と表明した。

 習氏は「万里の長城(Great Wall)」の絵画を背景に収録された映像で、新型コロナウイルスとの闘いを「政治問題化」しないよう世界各国に警告。穏やかな口調で、新型コロナウイルス関連で国連基金に1500万ドル(約15億7500万円)の追加拠出を行うとも表明した。習氏はまた「中国に冷戦(Cold War)に突入する意向はない」とも言明し、世界各国に「文明間の衝突のわなに陥る」ことがないよう呼び掛けた。(c)AFP/Philippe Rater with Shaun Tandon in Washington