【8月29日 AFP】(更新)米マーベル・スタジオ(Marvel Studios)製作・ディズニー(Disney)配給の映画『ブラックパンサー(Black Panther)』で黒人初のスーパーヒーローを演じて記録的大ヒットを飛ばした俳優のチャドウィック・ボーズマン(Chadwick Boseman)さんが大腸がんで死去した。43歳だった。広報担当者が28日、AFPに明らかにした。

 広報担当者によれば、ボーズマンさんは大腸がんと診断された後、人知れず4年間、闘病生活を送っていた。自身の病状については公表せず、「数え切れないほどの」手術と化学療法を受けながら、その合間にハリウッド(Hollywood)の大作映画に出演し続けていたことをこのたび家族は明らかにしている。

 ボーズマンさんのソーシャルメディアのアカウントには、「ブラックパンサーの王ティ・チャラ(T'Challa)に命を吹き込んだのは、彼のキャリアにとって名誉だった」「彼は妻と家族にみとられ、自宅で亡くなった」とのメッセージが投稿されている。

 若手の頃のボーズマンさんは、大リーグ初の黒人選手となったジャッキー・ロビンソン(Jackie Robinson)さんの伝記映画『42~世界を変えた男~(42)』で主演を務め(くしくも今年の8月28日は米国の「ジャッキー・ロビンソン・デー」)演技を高く評価された。『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~(Get on Up)』ではファンクの「帝王」と称された歌手のジェームズ・ブラウン(James Brown)さんを演じ、米誌タイム(Time)の2014年の名演トップ10に選出されている。

 ボーズマンさんが主演した『ブラックパンサー』は、アフリカの架空の王国ワカンダ(Wakanda)を舞台にし、コミックを原作にした映画としては初めてアカデミー賞(Academy Awards)の作品賞にノミネートされ、黒人俳優をメーンキャストとして起用し、アフリカの繁栄した国家が難民を受け入れ、文化や技術を貧しい国々に提供する設定は固定観念を覆したとして称賛された。

 ボーズマンさんの訃報は、ハリウッドをはじめ、世界中に衝撃を与えた。

 大統領選の民主党候補ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領は、ボーズマンさんの「真の力は、私たちがスクリーンで見たどんなものよりも大きかった」「ブラックパンサーからジャッキー・ロビンソンまで、何世代もの人々を鼓舞し、自分がなりたいもの、スーパーヒーローにさえなれることを示した」と述べている。

 マーベル作品で共演した俳優のマーク・ラファロ(Mark Ruffalo)さんは、「ブラザー、君は史上最高の人間の一人で、君の素晴らしさは始まったばかりだった。パワーと共に眠れ、キングよ」とツイッター(Twitter)に投稿している。

 マーベルは公式ツイッターアカウントで、「私たちは悲しみに暮れています。チャドウィック・ボーズマンのご家族に心よりお悔やみ申し上げます。あなたのレガシーは永遠に生き続ける。どうぞ安らかに」と弔意を表した。

 ボーズマンさんは最近ではスパイク・リー(Spike Lee)監督のベトナム戦争(Vietnam War)を舞台にした『ザ・ファイブ・ブラッズ(Da 5 Bloods)』に出演。2022年に公開が予定されている『ブラックパンサー』の続編にも登場する予定だった。(c)AFP