【8月29日 AFP】米首都ワシントンで28日、人種差別と警察の暴力の根絶を求める抗議デモが行われ、数万人が参加した。先週、ウィスコンシン州でアフリカ系米国人のジェイコブ・ブレーク(Jacob Blake)さんが白人警官に発砲されたことで、米国内では新たな怒りが巻き起こっている。

 28日は、米国の公民権運動を率いた故マーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King Jr.)牧師の「私には夢がある」の歴史的演説から57年に当たる。演説が行われた国立公園ナショナルモール(National Mall)には、これを記念した大行進に参加するため大勢の人々が殺到した。

 この日の抗議デモは、5月にミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で白人警官に膝で首を押さえつけられて死亡したジョージ・フロイド(George Floyd)さんにちなみ、「Get Your Knee Off Our Necks(私たちの首から膝をどけよ)」と称された。フロイドさんの死は、米国内では過去数十年で最大規模の市民による抗議運動を引き起こした。

 先週には、ウィスコンシン州ケノーシャ(Kenosha)でブレークさんが背後から警察に繰り返し銃で撃たれたことで、国民の怒りの炎に油が注がれた。

 抗議デモには、フロイドさん、ブレークさん、そして3月に米ケンタッキー州の自宅アパートで警官に撃たれて死亡したブリアンナ・テイラー(Breonna Taylor)さんの親族らも参加し、大勢の人々を前に涙をこらえながら順番に演説を行った。聴衆は演説に呼応して、犠牲者の名前を繰り返し大声で叫んだ。

 キング牧師の息子、マーティン・ルーサー・キング3世(Martin Luther King III)は、57年前に父親がしたようにリンカーン記念堂(Lincoln Memorial)の階段に立ち、人工池の周辺に集まった大勢の人々の前で、白人と有色人種間の不平等と闘い続けること、そして11月の大統領選でドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領を是が非でも打倒するために投票することを国民に呼び掛けた。(c)AFP/Charlotte Plantive and Michael Mathes