【8月27日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状がなくても感染者と接触した場合は検査を受けるよう推奨してきた米疾病対策センター(CDC)が突如、見解を一変させ、「無症状なら必ずしも検査を受ける必要はない」と指針を修正した。方針転換の理由や根拠は説明されていない。

 CDCのウェブサイトに掲載されたコロナ指針がひそかに変更されたのは、24日。折しも米メディアでは、コロナ対策へのホワイトハウス(White House)の政治的介入が報じられていた。

 CDCの指針では、これまで「無症状や発症前の人からも感染する恐れがあるため、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染者との接触者を直ちに特定し、検査を行うことが重要だ」と説明していた。だが、現在は「感染者と15分以上の濃厚接触(約1メートル以内)があっても、症状がなければ、感染リスクの高い人または医師・公衆衛生当局から推奨された人以外は、必ずしも検査を受ける必要はない」となっている。

 ブレット・ジロワー(Brett Giroir)厚生省次官補は記者団に対し、指針変更に至った新たな証拠は明らかにしないまま、「(コロナ対策)タスクフォースの助言を受けている」と説明。変更後の文書は、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長らも確認したと述べた。

 だが、ファウチ氏は米CNNの取材で、これを否定。20日に声帯ポリープの切除手術を受けていたことを明かし、「私は手術室で全身麻酔をかけられていた。新たな検査指針に関する議論や審議には一切、関与していない」と言明した。

 ファウチ氏は、新指針によって「無症状者の増加は大した問題ではないと、人々が誤った思い込みをしてしまうのではないか心配だ」と述べている。(c)AFP