【8月7日 Xinhua News】中国新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)バインゴリン・モンゴル自治州チャルクリク(若羌)県内にあり、古代シルクロードの幻の都市とされる楼蘭(ろうらん)の遺跡「楼蘭古城」は現在、ロプノール湖から吹き寄せる砂塵(さじん)まじりの風により激しい浸食を受けている。地元政府も今年6月から、残りわずかな建築遺構を保護するための緊急補強プロジェクトを実施している。

 チャルクリク県の文化部門によると、緊急補強の対象は主に古城内の建築遺構「三間房」と仏塔の本体、およびこれらが立つ台地で、修復費用として約942万元(1元=約15円)を投じる。

 専門家による調査では、ロプノール一帯の砂塵が吹き付ける極端な気候が、遺構本体や地盤に最悪の場合、倒壊の可能性もある深刻な被害をもたらしていることが分かった。

 補強工事は、甘粛省(Gansu)敦煌市(Dunhuang)の莫高窟(ばっこうくつ)や四川省(Sichuan)楽山市(Leshan)の楽山大仏など世界文化遺産の保護プロジェクトを多数手掛ける企業「中鉄西北科学院」が担当している。同社の楼蘭古城遺跡緊急補強・保護プロジェクト部の技術者、周鵬(Zhou Peng)氏は、高温下での作業を避けるため8月からは夜間に作業を実施していると説明。全体的な補強工事は11月に完了する見込みだという。

 楼蘭は中国の歴史書「史記」に初めてその名が記され、漢代にはシルクロードの要衝だったとされる。楼蘭古城の平面はほぼ正方形で、当時は粘土とギョリュウ(タマリスク)の枝またはアシで築いた1辺約330メートルの城壁で囲まれていた。北東部の仏教寺院エリアには粘土で築かれた仏塔、西部には三間房などの建築遺構が残る。三間房は日干しれんがで築かれた3部屋からなる建築遺構で、保存状態も良く、周囲には土や木などを用いた建築遺構も幾つか見つかった。漢代の貨幣「五銖銭(ごしゅせん)」や魏晋時代の漢文文書、佉盧文(カローシュティー文字)文書、銅器、漆器、絹織物、ガラス器など大量の遺物も出土している。(c)Xinhua News/AFPBB News