【10月4日 AFP】オランダの首都アムステルダムの郊外では、生花が入った木箱をフォークリフトで絶え間なく積み込む作業がすでに始まっている。新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)が解除され、生花生産大手各社が世界各地への配送を再開したのだ。

 オランダからはフランスにも毎日大量の花が輸出されている。オランダの巨大な生花業界が、グローバル化した市場を長年独占していることを示す一つのしるしだ。

 だが、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)をきっかけに消費者の目が国内に向く中、フランスの栽培業者はいわゆる「スローフラワー」運動の一環として、気候変動への影響がより少ない国産の花によって、オランダの独占を打ち破りたいと願っている。

 地元の農家と生花の振興策として米国で始まったスローフラワー運動は、大規模取引からの転換を図り、地域経済と倫理的な生産者を支援しながら成長を遂げつつある。

 さまざまな統計はあるが、オランダの生花大手「フルーラメッツ(FleuraMetz)」フランス支社の幹部らによると、オランダ以外で栽培された花を含め、世界で生産されている花の推計70%がオランダ市場を経由して流通している。

 生花市場におけるオランダの支配は1950年代、市場販売の促進につながった大規模な協同組合の創設によって加速された。オランダは「生産を集中し、流通管理を集中し、販促を可能にする協同組合を創設したことで、花の売り込みを組織化することができた」と、フルーラメッツ仏支社のティエリー・ルボー(Thierry Louveau)氏は説明する。

 フランスの園芸業者団体「Val'Hor」によると、同国で販売されている花の85%は輸入品だ。

 業界関係者のオルタンス・アラン(Hortense Harang)氏によると「1972年には3万戸あったフランスの園芸農家は、今では3500戸だけだ」と指摘する。