■「フランス産の花」ラベル

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以降、国産品に対する消費者需要拡大に勢いを得たフランス他欧州の生産者らは、これまでの傾向を巻き返すと同時に業界の二酸化炭素(CO2)排出量削減を望んでいる。

 Val'Horのミカエル・メルシエ(Mikael Mercier)社長はAFPの取材に「(新型ウイルス)危機の中からフランス産、地元産を買いたいという欲求が表れた」という。

 生花業者のベンジャミン・ペロー(Benjamin Perot)氏が課題とみなしているのは、オランダの物流との競争があり、一方で大規模協同組合が多様な商品の入手を容易にしている中で、商品が100%フランス産だと保証することだという。

 ペロー氏によると、例えば仏南西部ビアリッツ(Biarritz)にある生花商が、ボタン一つでオランダ市場から花を仕入れ、翌日には店頭に並べることができるのだ。

 フランスをはじめベルギー、イタリア、英国の業界は構造的弱点を補うために、園芸農家を独立した生花商や、自転車や電気自動車を使用しているCO2排出量の少ない流通業者、そして地元の消費者に結びつけるプログラムを発足している。

「フランス産の花」ラベルの普及に取り組んでいる協会「エクセランス・ベジェタル(Excellence Vegetale)」のシルビー・ロベール(Sylvie Robert)理事長によると、新型ウイルス流行でサプライチェーンが途切れたことにより、フランス産生花への要望がかつてないほど目立っているという。

 同氏によると、「フランス産の花」ラベルに参加している企業は2000社近くに上っており、以前は1、2件だった1日当たりの申し込みが、4月以降では最高10件の日もあったという。「小さなブームではなく、立派な大ブームだ」

 マサミ・ラボー(Masami Lavault)さんをはじめとするフランスの園芸家らは、さまざまな障害をよそに国産品への回帰が進みつつあることを実感している。

 ラボーさんはパリのベルビル(Belleville)墓地の裏にある小さな畑で、クロタネソウやコスモス、キンセンカなど約200~250種類の花を栽培している。「暮らしを複雑にしないよう注意していますが、でも私にとって、多様性に満ちていることは大事です」という。1週間に2日、化学物質を使用せずに育てた色彩豊かな花を摘んで、生花商や個人に販売する。

「ここに来て、花畑で栽培されている様子を見てもらえたら素晴らしい」とラボーさん。「商品を消費する人々にできる限り近づくこと、これこそがマイクロ農業の目的なのです」 (c)AFP/Nicolas Gubert with Francois Ausseill in Nairobi, Sara Magniette in the Hague and Claudine Renaud in Nice