【7月25日 AFP】20年前、米ニューヨークに向けてフランス・パリのシャルル・ドゴール(Charles de Gaulle)空港を出発した超音速ジェット機「コンコルド(Concorde)」は、離陸直後に炎を上げて近郊のホテルに墜落した。乗客乗員109人全員と、地上の4人が死亡した。

 事故が発生したのは2000年7月25日午後4時45分(日本時間同11時45分)。天気は良好だった。

 空港幹部はAFPの取材に対してこう話している。「コンコルドが離陸したとき、エンジンから火が出ていた」「機体が離陸し、旋回しようとして、向きを変えたときに墜落するのを見た」

 コンコルドは1969年3月に初飛行を果たし、優れた技術と超音速で、空の旅に革命を起こすと期待されていた。

■おなじみの外観

 コンコルドの最大の特徴はとがった鼻先だ。離陸中はこの機首が下向きに折れ曲がるので、操縦士の視界を広く確保できる。

 機体の安定性と飛行効率を実現する三角形の「デルタ翼」も、一目でわかる特徴だ。

■超音速

 音速を超える旅客機は、コンコルドと、「コンコルドスキー(Concordski)」と呼ばれ短命に終わったロシアのツポレフTu-144(Tupolev Tu-144)のみだ。

 音の速さは時速約1225キロだが、コンコルドが達成した巡航速度は時速約2200キロ。つまり、ニューヨーク~パリ間を3時間半で飛ぶことができる。これは現在の標準的な飛行時間のほぼ半分で、米国人飛行士チャールズ・リンドバーグ(Charles Lindbergh)が1927年に世界で初めて大西洋を無着陸で横断したときの10倍も速いことになる。

 ただし飛行時間の短縮にはコストが伴う。2003年当時、英ロンドン~ニューヨーク間の航空券は約8300ポンド(当時のレートで約157万円)だった。

■とどろく騒音

 コンコルドはその騒音がすさまじいことでも知られ、1997年には米首都ワシントンの空港で離陸時に119.4デシベルの騒音レベルを記録している。雷鳴は120デシベル、人間の耳が耐えられる音量の上限は約110デシベルだ。

 ジェット機が音速の壁を破ると、ごう音「ソニックブーム」が発生する。このため多くの国がコンコルドが領空を飛行することを禁止した。