■医療関連より多かった苦情

 キューバのミゲル・ディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領は、テレビで新たなシステムの欠陥を認めざるを得なくなった。「パンデミック(世界的な大流行)の間、医療に関する苦情よりもオンライン・ショッピングに関する苦情の方が多く寄せられた」

 人口1100万人超のキューバの新型コロナウイルスによる被害は、感染者2588人、死者87人(7月30日時点)と比較的抑えられている。それに対し、ネット通販の方は「現実が許容量を超えてしまった」とディアスカネル氏は述べた。

 オンラインストアのトゥエンビオにとって、ショックは大きかった。政府がロックダウンを命じる前、同サイトの1日当たりのビジター数は数百人だったが、発令後は8000人まで増えた。2月にはわずか1300件超だった注文数も、3月には6000件、さらに5月は前半だけで7万9000件近くまで急増した。

 ハバナ大学(University of Havana)キューバ経済研究センター(Center for the Study of the Cuban Economy)のフアン・トリアナ(Juan Triana)教授は、「トゥエンビオの事態については状況全体の中で見る必要がある。緊急時に緊急の解決方法として奨励され、極めて急いで実行に移された。おそらく時間も、必要な検討も、他の成功例の研究もなかったのだろう」と弁護する。