【3月27日 AFP】キューバ政府は26日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受けて同国が世界各国に派遣した医師団について、米国が「疑惑とうその宣伝活動」を行っていると激しく非難した。

 キューバは医療従事者の養成プログラムが優れていることで知られ、世界61か国で3万人のキューバ人医師が活躍している。ここ数週間は新型ウイルス対応のため、要請に応じてイタリア、ベネズエラ、ニカラグア、グレナダ、スリナム、ジャマイカ、ベリーズに医師団を派遣している。

 キューバ外務省は、米国務省が「キューバの提供する国際医療協力に対し、継続的に悪質な疑惑とうその宣伝活動」を行っていると外交文書で抗議。「米政府の疑惑の宣伝活動は、いかなる状況においても道義にもとる。全人類を脅かすパンデミックのさなかにあっては特に、キューバに対しても世界に対しても侮辱的だ」と非難した。

 これに先立ち米国務省はツイッター(Twitter)に、「キューバはCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に苦しむ国々に国際医療支援を提供しているが、この制度の悪用への加担を各国がやめた結果、受けた損失を埋め合わせようとしているだけだ」と投稿した。

 共産主義国で教育費が無料のキューバについて、米国務省は「医師や看護師らが劣悪な労働環境に身を置きながら、国際医療支援に従事して稼いだ給料のほとんどを(国が)確保している」と主張。「COVID-19対策でキューバの支援を求めている各国は、合意内容を精査し、強制労働に終止符を打つべきだ」としている。

 医療サービスの「輸出」は、60年近く米国の厳しい制裁を受けてきたキューバ経済の支柱の一つで、政府統計によると2018年には63億ドル(約6900億円)を同国にもたらした。だが、近年ブラジルやボリビア、エクアドル、エルサルバドルなど受け入れ先の国が相次いで左派から右派に政権交代し、キューバ人医師団が送り返される事例が相次いでいた。(c)AFP