【6月25日 AFP】昨年のラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)でスプリングボクス(Springboks、南アフリカ代表の愛称)を優勝に導いたラシー・エラスムス(Rassie Erasmus)ヘッドコーチ(HC)が、命に関わる病気と闘いながらチームを指揮していたことが分かった。24日に南アフリカメディアが報じた。

 就任後18か月で冷笑の的となっていたチームを世界王者に変貌させた47歳の指揮官は、自己免疫疾患という珍しい病と闘っていたという。病名は顕微鏡的多発血管炎性肉芽(にくげ)腫症で、腎臓や肺などの臓器をはじめ、静脈洞や気管に影響があるという。

 担当医のヨハン・セロン(Johan Theron)氏の話では、がん性の病ではないものの、エラスムスHCは命に関わる危険性のある状態だったという。

 南アフリカラグビー協会(SARU)の広報は、「現在は回復段階にあるが、2019年のラシーは重篤な状態で治療を受けていた」と報道を認めた。アフリカーンス語紙ラポート(Rapport)は、エラスムスHCは開幕前の昨年9月と、44日間の大会期間中に化学療法による治療が必要だったと報じている。

 指揮官は大会期間中、自身の状態についてほとんど明かすことはなく、チームは劇的な復活を遂げて決勝ではイングランドを32-12で下した。

 先日引退を表明した元スプリングボクスのフランソワ・ロウ(Francois Louw)氏は、最多タイとなる3度目のW杯制覇にチームを導く間、エラスムスHCは重病を抱えていることを感じさせなかったと話した。アフリカーンス語のニュースサイト「ネットワーク24(Netwerk24)」は、ロウ氏がチームの中で指揮官の病気のことを知っている数少ない選手の一人だったとしている。(c)AFP